こっちに来られるよりそっちに行きたかった

Coffee Talkの2周目は通しでやる必要がないんじゃないかと、1周目のラストで言及された場面……が確か4つくらいあったのでアタリをつけてロード機能を初めて使いました。カレンダーのどの日からか選べる上にその日来る常連客の顔が表示されるので、何となく「この日にあの話があったな」と思い出しやすかったです。これはありがたいな……! ちなみにずっとマウスでプレイしてましたが今回はこっちの方がまだラテアート作りがマシになるのではと箱コンにしています。ミルクを垂らしたりエッチングしながらカップを回すことができますがラテアートは相変わらずへたくそでした。ベイリースに「かわいいな」って褒められちゃった! もうここはストーリーに影響しないようなので諦めます。正直練習するにも操作のクセが強すぎて私には楽しいものでもないですし……対戦ありがとうございました!

地球外生命体のニール(彼らはどうも意思疎通のクセからして高度に知的な群体っぽい)には「彼らを驚かせるもの」というオーダーで1周目は何を出したのか失念しましたがミルキーウェイと迷ったんですよね。天の川銀河の出身らしいので(太陽系も含むので同郷と言えば同郷だ)ミルキーウェイが当たりっぽいとは思ったんですが、味覚のない彼らの味覚を揺さぶるような……という話だったのでミルクベースにはちみつとミントのミルキーウェイだとそこまで驚くかどうかいまいち分からず、2周目をやるならミルキーウェイを出そうと思っていたのでした。ミルクにミントは味覚的に驚くかもなあと思ったんですが、考えてみたらのど飴でそういうのありますよね。

どうやら私の1周目でグッドエンドに足りなかったのはニールの所くらいだったので(と思う、たぶん)無事フレイヤの処女作が大ヒットする結末に辿り着けました。常連客のSNSプロフィールやイベントスチルなどが一気に集まったのでストーリー周りの実績がコンプリートできました。後はチャレンジモードで何杯提供するとか失敗作を何杯廃棄するとか、ラテアートに1時間かけるとかのみです。

1周目のラストで匂わされたマスターの正体には「なるほど!?」と良い驚きがあったんですが、そのまま2周目でグッドエンドを目指す中でだいぶメタな演出が入ってしまったのが残念でした。マスターはこの時間を過ごすのが初めてではなく、彼らの話すことを既に知っている……というのをうっかりフレイヤに勘づかれそうになる場面が早々にありまして、おそらくそれをヒントに彼女はマスターをモデルにした小説を書いて2周目世界でヒットさせたようなんですね。ただ、マスターが周回の知識を持っているとなると物語世界の住人ではなくだいぶプレイヤーの私寄りに感じられてしまって。私があの世界のカフェマスターに憑依して入り込んでいたかったのに、むしろあの世界の人々とマスターの間に線が引かれてしまったような……マスターに憑依してあの人々と同じ空間で、雨の匂いや湿り気やコーヒーの香りや照明の温かみを感じたかったんですよ……それを引き剥がされてしまったようで、ちょっと寂しい。

常連客のみんながバラエティに富んだファンタジー異種族というのももっと話に絡んできたらよかったなというのも少し物足りなかった点です。種族ならではの要素も家庭環境や個人の価値観に言い換えられそうで、エルフのベイリースとサキュバスのルアのカップルもエルフは基本的に排他的価値観で不老不死の特性があるそうでしたが、サキュバスについては特に説明もなかったので家族に認められないという点だけでも物語はできそうだったり。他には吸血鬼のハイドが生き血を飲まずに合成の血液を飲むヴィーガン吸血鬼だと語る場面だったり、あとは人狼のガラが満月の夜に暴走してしまうとかくらいでしょうか。ガラは暴走モードを鎮めるための1杯を提供しましたが、彼自身の生い立ちに関しては人狼抜きでも語れそうなんですよね。トラウマを抱えた退役軍人で、ハイドと知り合い彼の勧めでカウンセリングを受ける中で病院で働き始めるんですが、おまけコンテンツのコミックでは強面の偉丈夫ゆえに怖がられる描写がありまして、それは人狼由来というよりは彼個人の外見のものですし身体能力に優れているのも種族由来かも知れませんが個人のものとしても問題ないと言いますか。日本のファンタジー観だと人狼よりオークの方がフィジカル面で強そうなんですが海外だとどうなんでしょうね。ガラの描写や女性オークのマートルの存在からそっちに興味が出ました。

ゲーム内容としては1周に5時間くらいですし1日の区切りで進むのでお手軽、懐かしいドット絵2Dグラフィックは色彩やキャラの表情が好み、音楽もカフェの落ち着く雰囲気たっぷりで足音や飲み物などのSEも丁寧に感じました。ストーリーもマスター周りや異種族要素に物足りなさや残念さはありつつ、ひとつのお店で交わる人間模様としてはユーモアのある会話を交えつつ優しい結末に落ち着いてくれるほっこりした楽しさがありました。最初は各キャラクターの見た目なんかで「こういうキャラ好みだな」と思うんですが、だんだんみんなに良さがあると分かってきて親しみや共感を持ちつつ時には「それはちょっとどうかなあ」と言ってやりたくなるのが嬉しい体験でした。次は2も遊んでみようと思います。