以前体験版を遊んだ「文字化化」が正式リリースされ、リリース記念に少し安くなっていたのもあって即買っていましたが数日ほどライブラリに寝かせてしまっていました。で、少しずつ進めています。以下プレイ途中ですがネタバレたっぷりの感想です。
このゲーム、人外系男子とコミュニケーションを取りつつ主人公の女の子が現実世界に似た異界からの脱出を目指す形のADVでして、恋愛要素アリと公式に謳っているのである程度は好意のやりとりはあると思われますが、どのキャラクターもほどよく人型の人外っぽさがあって望むところです。体験版の時点でキービジュアルの這いばい男や生首は好意的な様子でしたし。でもそれ以上にシステムが遊んでみたくなる決め手でした。異界の住人は異界の言葉を話すので会話ウインドウはうにゃうにゃした謎文字の羅列ですが、単語ごとにクリックして意味を上書きしたり仮メモしておけるので、言葉を教えてもらうシーンや文脈からの推測で少しずつ知識を増やし謎単語に対応する解釈を書き込んでパズルを埋めていく感じの進行になります。
プレイしてみますと、体験版と比べてシステム周りが親切! TIPSのような説明でゲームのルール的なものやこの世界の言葉の仕組み、それらを読み解かなくてもクリア自体はできるといった前提を出してくれているも嬉しいですが、一番ありがたいのは会話のバックログからも単語の意味を書き込める点です。体験版では選択肢の結果から推測できてもその段階ではもうメモを書けないシステムだったのでもどかしかったのですが、これはありがたい。そして主人公が時折「これは〇〇って意味かな」とモノローグで補足してくれるので痒い所に手が届きます。
チャプター5まで進んで、道中に分岐した早めのエンディングもいくつか見たところですが……失敗して死んだ後や横道エンドの際に分岐点に即復帰できるのがありがたく、それでいてリトライのしやすさから自分が今どのタイミングにいるのかがごっちゃになりやすく時系列迷子が発生するのが難しいところです。遭遇するたびに殺されそうになる赤い傘の男を倒せるっぽいですが、そのためには長鉈男と良い具合に絡まないといけないようで……彼の登場するあたりはまだ確定できない言葉が多かったので何が起きたのかよくわかってないんですよね。追いかけられて逃げるのか逃げないのか、何か言われて刺されたようだけれど負傷か何かしていた主人公の体は回復しているらしく……? 言葉がちゃんと理解できていないので出来事もちゃんと理解できていない! うう、ちょっとめんどいよーエンディングがやたら多いよー……。
このリストにびっくりしました、マジか。END04あたりの(リストから再生はできないのでどれが何のエンディングか忘れ気味)這いばい男と現実に戻ってきた風で同棲している風のを一番最初に見ましたが、現実逃避感マシマシながらとりあえず平穏でいいんじゃないかと思わないでもないです。
這いばい男が忠犬のように一緒についてきてくれたり、最初は心臓を欲しがってハートキャッチ(物理)してきた隙間の男が時々助けてくれたりと「あらあらまあまあ、いいじゃないのいいじゃないの」と乙女ゲー的な味を噛み締めていましたが、チャプター5に入ってから這いばい男と別れての行動になった際に絡んでくる隙間の男がだんだん可愛く見えてきました。油断すると心臓とか指を欲しがりますが。
これを見せてくるの可愛すぎか、ちょwwwwwwお前有名人じゃんwwwwwwってやって欲しかったんでしょうか。
赤い傘の男をやれそうでやれない、逃げようにもループに閉じ込められて同じところをぐるぐる回ってどうすりゃいいんだとタイムアップした時(何気にQTE的な要素もあります)に助けに来てくれた隙間の男。そこも隙間なんだ!? ここから隙間の男エンドと思われる方にしか行けないんですが、おそらくここを打開するべく赤い傘の男を倒すには長鉈男と――(話題ループ)ところでこの狭い通路の主観視点で中央に敵という構図、すごく女神転生感ありませんか。「魔人 赤い傘の男が1体出た!」って古印体で表示されそうですよね。
しかしゲームを進めるにつれて主人公は何故この異界に迷い込んだのか、それ以前は何をしていたのか……という断片的な記憶が戻ってきますが、どうもこの子普通にギャグやネタでない暴力を行使できるタイプと言うか、廃墟で死体を捨てていたらしきことを言っていて……モノローグも異界や住人たちに慣れてくるにつれて言葉端から地の性格や価値観がチラ見えしているんですが、うーーーーん……個人的に、きわめて個人的に、ゲームの主人公としてあまり感情移入できないなと思いました。主人公にある程度感情移入と言うか自分を憑依させてプレイするし名前もつけたりするタイプなもので、クセのある主人公だと「ウッ」と怯むんですね。特に乙女ゲーにおいて「ただの良い子ちゃんじゃないところがいい!」と評価されるタイプの主人公に怯みます。この主人公もそのタイプで、私の分身のはずなのに分身じゃない……こんな子知らない……としょんぼりしました。ゲーム開始時点より前の情報を後出しされて印象(思い込みや偏見でもありますが)をひっくり返されるのが好きではないんですよね。プレイヤーからしたら知りようがないことを主人公は知っていて、プレイヤーはその記憶についての価値観を主人公と共有できないまま進めないといけないという。昔「恋と選挙とチョコレート」のPSP版を遊んだ時に幼馴染ヒロインのルートに同じ感想を持ったのを思い出しました。主人公はヒロインとの幼いころの出来事を思い出して恋心を自覚するものの、プレイヤーの私からすると初出の情報なのでそこから急に好意を持てと言われても困る……という。あまりにピンポイントですが、こうしたストーリー進行に強烈な違和感を持ったきっかけなので複雑な感情が今でも強いです。
主人公が自分の想定と乖離しすぎると後から他人として視点の修正がしにくかったり、他キャラとの会話が少なかったりストーリー進行に絡めなかったりすると疎外感を感じたり(ツイステッドワンダーランドを半年弱で脱落した要因)、私のプレイスタイルや価値観がひねくれていたり厄介なんだろうなとは思うんですが。うーーーーん……ひとまずは選択肢を変えてのシーン埋めと長鉈男とのコミュニケーションを頑張ってみます。