いまいち場所がピンとこないのは内緒だ

パラノマサイト、クリアしたものの「続きが気になる……でも終わって欲しくない……」とモダモダして眠たい頭でプレイしていたせいで終盤の謎解きが分からず攻略を見てしまいました。ネタバレ一杯の感想です。

後から思えばお札の順番は「あー! 新石先生の話テキトーに流さないでちゃんと聞けば順番があるって発想にはなった! 時系列もある!」となりましたが、解除のタイミングは全然分からなかったなと、錦糸堀公園で鬼火を見たのは覚えていましたがお札と同じでそれぞれの記憶や知識を繋げて考えるものとして捉えてなかったと言いますか……。お蝶姐さんのいた工場といい、セイマンの精神=プレイヤーが干渉しているポイントで鬼火が観測されてたわけなんですね。

呪詛を使える呪主になったキャラクターたちが何人も出てきて駆け引きもあって、みたいな第一印象? だったもので興家編の流れもありジョジョの奇妙な冒険ばりの能力バトルのつもりでいたんですが、まあ考えてみればそれまで一般人だったのが急に呪殺する気満々になっちゃう連中ばかりを操作したいかと言われると……ではあるんですね。呪影の影響で殺意がひょいと出やすいくらいで、興家のいきなりアクセル踏みまくりモードが妙だったんだなと後から理解しました。……じゃあ逆にあいつの「知り合って半年も経ってない葉子さんのために人を殺せるメンタル」って何なんだと、他の呪主の目的と比べるとヤバいなと気づきました。あと津詰警部が呪影に憑かれたのって何故なんでしょうね、彼だけ誰かを蘇らせたいという話が全然出ていなかった気がします。

昼間のパートは情報集めがほとんどですが、3人の主人公がそれぞれ入手した情報を交換したり、プレイヤーが把握した情報を参考にして各キャラをどの時間帯にどこに向かわせるかを操作したりがワクワクしましたね。やっこちゃんの序盤は夜中の学校でこっくりさんをしている時点で怖すぎましたが、パノラマ画面を自分で見渡さないといけないのが絶妙で、もうこれ絶対ヤバいのがいるって分かってるんだよなあとなりつつ後ろを向いたり暗闇を見渡さないといけないのが大変にホラーゲームらしいいやらしさでした。案の定真っ暗な中で呪影にビクッとなりました。

どのキャラクターもデザインや言動が魅力的でいいなとなりましたが、あやめちゃんは自己肯定感の低さ(自分含めたすべてへの良い意味での執着心のなさ?)や自分の人生の光明になった葛飾北斎への傾倒ぶりが何とも怖くて、他と一線を画したイヤな感じが出てましたね。現代に北斎が蘇ったとして自分は死んでもいいとなったら北斎の新作を拝めないのでは、なんて思うんですが、彼女にとっては新作が生まれることが喜びで自分がそれを見れるかどうかはどうでもいいのかなと、うーん……やっぱり独特……。根島なんかは津詰警部との会話がいかにも軽妙なノリかつ油断ならない感じが、フィクションの悪として嫌いじゃなかったです。サブキャラの中で人気らしい並垣は何やっても面白いなかわいいなとなりつつ話を追うにつれてコイツ洒落になってないやらかししてるじゃねえか! となりました。エリート生まれの鼻持ちならないボンボンだけど本人に取り立てて光るものがあるでもなく、そんな青年もお手伝いさんのまかないご飯が忘れられないというエモさをひとつまみしてくるの好きです、あと呪詛行使の時の両手をかざす芝居がかった仕草がすごく好きで、通常の好青年風の表情や悪だくみしている顔だったり、いちいちイイな……と人気も納得でした。足洗い屋敷はすごい強い呪詛だろうに、彼がいつも興家ばりの殺意を出さずに交渉から入ってドヤ顔をしちゃうせいで先手を取れないのが涙を誘いますが、あれの対処法で確かに真っ先に「あ、ボイス音量だわ」と気づきはしたものの、ゲームの音量をプレイヤーに届けるための項目であってゲーム内の登場人物同士の音量ではないような違和感があるんですよね。プレイヤーがセイマンの精神としてゲーム内にも存在しているので、プレイヤーを呪詛から守ることでキャラも守るということなんでしょうか。プレイヤーの存在が足洗い屋敷特効すぎて可哀想ですが、呪詛の成り立ちからして蘆乃とセイマンなので相性が悪いのも当然かも知れません。

時間帯に合わせて「ここで高校に行かせると合流できる」とかの操作があるのは面白かったですし、思ったより呪詛が使えない消化不良感もストーリーを読むうちに薄れはしましたが(しかし隙あらば呪詛してみたいのでマダムルートであやめちゃんに呪詛行使ボタン出た瞬間に押す)黒魔術が後から出てきたと言うか、根島や岩井が黒魔術を信じて儀式までやっていたというのがあまりしっくり来ないところはありました。根島はギリギリ飲み込むとしても岩井はそういうタイプでもなさそうな印象で、根島事件の犯人最高にかっけえ! シビれる憧れる! の精神で模倣しちゃうんでしょうか。ちょっとちぐはぐに思ってしまいましたが、それだけにブチギレ春恵さんの憤怒の表情は真に迫ったものを感じましたね。「そんなことのために」感はすごい分かりました。何やってんだお前!? とは私も思いました。

トゥルーエンドに関しては、真相の種明かしが……私がうまく自分で解けずに攻略を見てしまったせいもありますが、ひたすら案内人から情報を浴びせられる感じで終わってしまったので「???」なところもありました。葉子を倒すタイミングはここしかなく、ここで倒していない場合は興家は死ぬしそのままこんな風に蘇りの秘術や呪詛が野放しになってしまう……というifを見せられていたとは理解するんですが、その本来あってはいけないifの中でみんなに愛着を持ってしまうので、あれもこれも無かったことになるのかという寂しさや無力感と言いますか、虚しさがありました。たっぷり楽しんできたのが夢の話だとしても、そこから受けた感銘はたくさんあったので、本来あるべき姿はそうしたifの思い出と引き換えにしてでも手に入れなければならないことを飲みこめきれず……エリオとミヲちゃんの場面から葉子に対して起死回生が欲しくなってしまうんですよね。

真相についても、ここまでの物語の中に充分ヒントはあって今さら新しい情報はせいぜいが葉子周りで、やるべきことは消去法で浮かび上がっているのは分かります。つい、あの詰みのような状況からストーリーで見たくなってしまうんですよね、葉子の背景についても。とは言え物事の真実とか伏線というのは私が望むように鮮やかなストーリー仕立てとは限らない……というのもこのゲームらしいのかなとどうにか納得しました。葉子についても彼女自身が知っていて隠していたものと、知らず知らず蘆乃の血(あるいは精神も宿ってたりするんでしょうか)によって無意識にとっていた行動もあるかも知れませんが、まあ黒幕がいかにもそれっぽく匂わせてしまっては黒幕にならないので「後出しじゃん!」という私の気持ちも駄々っ子のそれなのかも知れません。語ろうと思えば語れるけれど、それはプレイヤーの貴方にとってどうかはさておきこの物語においては重要ではない、と言いますか。

終わってみればすごく面白いゲームでしたが、ストーリーやシステムで物足りなさを感じる部分もあり、それも含めてなんだかいいゲームだなあ……という不思議なプレイ感でした。すべてを理解した後の興家のドライさも「ええ……?」となったので、結局興家と葉子が一番わからんキャラになっていたのも面白いですね。キャラとしての愛着が薄い反面、グッズで2人が仲良くしてるイラストを見ると嬉しくなる、そんな不思議な存在です。

では2周目に挑戦して今度はちゃんと頭を使って情報を飲みこみつつなめどりシールをコンプしてきます。