戦いながら話すのをやめろっ

サイレントヒルf。
赤水庵の謎解きをクリアし(鹿威しが鳴る間に風鈴をダッシュで鳴らして回るのがシンプルに焦る)胡坐の布袋様も手に入れていたので、霊刀の怨念を祓うかどうかでエンディングどちらにも分岐できる状態だったんですが、うっかりお稲荷さんの手水を調べてしまってそのままポチャしてしまいました。
狐の嫁入りエンド確定……!
いやでも次はアクション難易度を簡単から物語重視に上げるつもりだから霊刀が生きてるルートの方がやりやすいのでは……?
データを分けてはいたんですが、お守りをコンプしたら絵馬で雛子のステ強化もしたいので結局周回プレイが必要なんじゃないかと思い直して嫁入り一本で今回は突っ切りました。

2周目は狐勢力や九十九神勢力の介入がほのめかされたり、雛子の縁談などはっきり語られるようになりますが、深水家での雛子同士のやりとりも抱える不安や迷いが具体的に言葉にされていてキャラクターに感情移入できるし共感したり好きになったりできますね。
狐雛子は嫁入りを決断したはしたんですが、それでも「今の心地良い環境がいつまでも続くわけがないから私は行く」というようなちょっと後ろ向きさを感じないでもないです。光を掴みに行くと言うより、いずれ居心地の良い「実家」も「友人」もなくなるなら行くしかないという何か切り捨てて進むような悲壮感と言いますか。
そこに寿幸お手製の恋愛成就符をひとつまみ、白檀の香りとともに狐雛子もポッときちゃうわけですね。
……きみら薬だの符術だの、ひたむきな気持ちは見ていてワクワクするが雛子に盛りたがりじゃないか!? 裏から手を回す前にドーンとぶつかって来いよ!(リングサイドの野次)

2周目で修の小屋で手に入る決別の手紙も、これを郵送で送るつもりだった修の弱さとか相棒に相応しく振舞っていたかっただろう気持ちとか色々入り混じったものを想像してほろ苦さや愛おしさにグッと来るわけですが、寿幸の決意の日記にもグッと来るんですよね。
1周目の雛子と寿幸の出会いから母から息子への手紙のあたりで「寿幸も雛子や修たちと遊んだことがあって、その上で友達を選べと叱られた前提なら……」と夢見ていたんですが、どうも普通の子たちと一緒にベーゴマ遊びをしたり宇宙戦争ごっこをしたりはできなかったようで……儚い夢だった……。

深水家の前で白無垢に両親を殺されてからのスキップ機能めちゃくちゃありがたいですね! 正直めんどくなってくるので「早くエンディングを見せてくれ!」な私にぴったりです。どうせアクション難易度は簡単のままですし。
白無垢に3回追いつく実績がまだだったな、と後で気付きましたがまあいいや。

大筋のステージが変わらないままなので、2周目以降のエンディングはどんな変化があるのかと思っていましたが、雛子が祭壇を破壊するあたりでがっつり変わってくるんですね。
変質しきった白無垢ではなく狐雛子と対話するのは、「決めないでいる雛子」と「決めた雛子」のぶつかりあいで熱かったです。

霧の町の雛子も社殿の雛子も、こういう啖呵や決意の見せ方が毎回かっこいい。
このぶつかり合いで狐雛子が勝利し、私が操作していた雛子から出た黒い霧(九十九神? 狐と対立するもの?)が離れたのを寿幸が祓ったという感じでしょうか。
「こんなものに憑かれて耐えていたのか」と寿幸が言っていましたが、社殿ステージで憑き物と言うと咲子がボスとして登場した時も憑き物が入り込んだ的に言って急急如律令して祓ってましたよね。咲子は千年杉を祀る神社の子ですし、千年杉は付喪神信仰に取り入れられたっぽいので寿幸にとっての憑き物(=悪しき霊的なもの)は九十九神の勢力ということなのかな。
そして見慣れたバットの影、からの修の乱入はこれまでと違った熱さを感じてしまいました。雛子は寿幸を庇うし、修もつらいよなあ……と思いつつ彼はあくまでも雛子の意志を尊重するので一発お見舞いはしてもそこから引いてくれるんですね。そして「男として放っておけぬ」の寿幸もいい、これまでずっと狐面の男として(公園の回想ムービーや手記以外は)婚約うんぬんよりは不思議世界ナビゲーターになっていて本来の人間らしい部分が見えにくかったので、ここで雛子をめぐって男の意地のぶつかりあいになるのは嬉しい。雛子からしたら自分を放置して男2人で盛り上がるなという感じですが。

ここすごく好きですね~! おかしな宇宙人野郎というのがかつての宇宙戦争ごっこを思い出しますし、九十九神に取り込まれてしまった修はあくまで一緒に抗う仲間、戦友というのがいいです。修は良くも悪くも日常側のキャラなので、狐なり九十九神なりの思惑とは関係を持たずラストバトルに至る物語周りに絡みづらいので、こうして取り込まれることで魂のぶつかりあいができるようになっておいしいと言いますか。

ここに来て「あ、そうか狐に嫁入りするルートだし当然狐雛子じゃんね」と武器の耐久度を気にする必要がなかったと思い出しました。何があるか分からないと思ってだいぶ気にしていたんですが。
見切り反撃を叩き込んで武器の消耗を避けつつダメージを入れる方針で、お守りも見切り回避から反撃につながるウサギを軸に見切り回避しやすくなるらしいスズラン、持久力消費を抑えるカジキ、持久力回復を助けるイノシシをセットしていました。ここまであまりウサギの強みを出せていませんでしたが、九十九神の攻撃は動作がでかいのでこれまでで一番見切り回避が出やすかったです。逆に本来の見切り反撃のエフェクトが全然分からなくなって困りました。「見えた!」ってなっても見えただけで反応できないんですよ……。こういう時に集中してるといいんでしょうか。それはそれで集中のしどきが分からんのです。
背景が白黒になってから鈴の音で攻撃するようになると一連の攻撃モーションがどこで一段落するのか混乱しはじめ、見切りやすい武器攻撃がいつ来るのか分からなくなって長引いてしまいました。弓矢攻撃は本当にやめろマジでやめろ。
なんか戦いながら雛子と修がアツいやりとりをしていましたが、私がモタモタするせいで修も言うことがなくなって「相棒……俺は……」しか言わなくなってしまって悪いことしたなと思いました。

えっそうなの?!
……いや分かるんですけど、そういうのすごく分かるんですけども! かわいい服だって自分で着ようと思って着るのと「女の子だからこういうの着ないと」で渡されるのだと全然違いますもんね分かりますよ!
なので雛子がそういう考え方であることも尊重したいんですが……流石に修と一緒の時の男口調はちょっと紛らわしくないです????「昔からの癖だからな」って雛子は言ってましたけど結構作ってる感ありましたよ???? 二次性徴を迎えて勝手に変わっていく体や押し付けられる女の子の趣味や女らしさに馴染めなくて自分からそこに馴染みにいくのも何か嫌で……みたいなモラトリアム的な心境とは……違う感じでいらっしゃる……? 参った、私が想像していたのと違う。これはちょっと修が雛子の本心に気づけなかったのも仕方ないし傍から見てた凛子がキレ散らかすのも分かる気がしてきたぞ……?(雛子を助ける気満々の咲子も好きだし、一貫してキレている凛子も好きなのであった)
あと緊迫する戦いの中でこういう重大かつテンションの上がる会話をしないでいただきたい!(無理難題)
無双オリジンズでも思ったんですよ、大軍団戦の最中にいい台詞で話しかけられてもこっちは士気の上がった周りの声でかき消されるしもみくちゃの戦いでテロップ読んでるどころじゃなかったりするからやめろと!
修が大事な話してるのに動き回るんじゃないよ九十九神!

すったもんだで戦いは終わり、修も解放されましたが……

これは心揺れるいい絵だな……と思う反面、ほんのり歪みを感じる部分もありますね。
この前段で「俺の雛子をいったん預ける」「雛子は私のものであって君のものではないね」と言い合いになる修と寿幸に和みつつ、雛子の「私はものじゃない」のマジレスにそりゃそうだと思ったんですが、この後も寿幸は修に対して「自分たちは世界で一番雛子を理解し大切にしようと思っている者同士、良い友人になれると思うのだが」と……ここは寿幸が雛子以外に対等っぽく歩み寄るのにグッと来ますし、差し伸べられた握手の手を一度は躱して背を向けた修が背を向けたまま拳を突き出すことで寿幸がぎこちなくも拳を合わせてフィストバンプする構図もグッと来るんですよね(時代的にこういう感情表現が一般に広まっていたかは疑問ですが)お互いが精神的に歩み寄った感もありますし、幼少期に友達を同じように遊べず寂しい思いをしていた寿幸が同世代の友達同士のようなやりとりをするだけで何だか嬉しいものです。
しかしこの一連のやりとり、あくまでも修と寿幸のものであって「花嫁である雛子を得た寿幸と、雛子を花嫁として迎えられなかった修の間に友情が生まれた」んですよね。推しについて語り合う仲間なので推しがいなくてもいいと言うか、雛子を通じてできた関係なのに雛子不在で成り立ってしまう……綺麗だけど、綺麗だけで終わらせるには何かザラつきを感じました。雛子が口を挟まずにいたから2人の会話と仕草がフォーカスされていたと言えばそれまでなんですが、あえて雛子にしゃべらせずに話が進んでいく微妙な感じを醸し出すストーリーだとしたらすごいです。
男の友情感、ライバル感を漂わせることで急に雛子から主体性が抜けていくと言うか、「君たちはゲーム中だけでなく最後まで雛子を置いて先に進んでいくんだな」感とも言えます。

そんなふうに妙なモヤつきを抱える私をよそに、2人まとめて面倒見てやると言わんばかりの貫禄を感じさせる雛子さん流石です。でもこの後白無垢の姿に変わっていて「ヒッ」となりました。やっぱり寿幸との恋愛模様なんてものではなく、常喜家への嫁入りなのでそうなっちゃうんですね……。暗く淀んでいた空が晴れて、雲間から日差しとともに雨が降る「狐の嫁入り」はすごく前向きで明るい未来を感じさせただけに、スタッフロール後のパートで「やっぱりそういう面があるんじゃん!」と悲鳴があがる感覚でした。そうですよね、雛子は嫁入りを選んだものの結局「お母さんみたいになりたくない、両親を見て学んだ夫婦像を嫌悪している」ところを解決していないんですよ……まして常喜家はきっとしがらみも多い保守的な価値観でしょうし、息苦しさと言ったら大変なものだろうと想像できます。
一筋縄ではいかないと言いますか、きれいで明るい面だけを描かない所に唸らされるシナリオですが、1周目に比べればたとえ暗い影が落ちていようと雛子が現実に選んだ道だという納得感も得られるのがいい塩梅です。1周目は本当に雛子もプレイヤーも何が起きているのか分からずがむしゃらに戦って暴れて現実に帰ってきたら何もかもめちゃくちゃになってましたからね。ひぐらしやうみねこのさわりしか知らないんですが竜騎士07のセンスすごいですね。ひぐらし奉買っちゃおうかな(まんまと零→サイレントヒルf→ひぐらしと公式バンドル版の流れに乗っている)

やっとタイトルメニューが肉肉した怪異に飲まれた町から変わった……あの絵面結構気が滅入ってたんですよ。

↑気の滅入る肉肉の町

↑鳥居に絡む肉肉しさに目を瞑れば息苦しさがないだけ良いしゲーム中に青をあまり見なかった気がする

そういえば、敵のデザインなどで「肉っぽいものは稲荷側、無機物や道具っぽいものは九十九神側が相手勢力に差し向けているのでは」という解釈を見かけたんですが、包丁を持ってる雑魚敵などはどちらもマネキン感はありつつ町に出るほうは傷や縫い跡が肉っぽくて、社殿に出る方は手足を刃物にされているんでしたっけ。ただどちらも薄暗い中まじまじとアップで見ないためマネキン印象が先立つのと、敵をぽこぽこ産む妊婦モチーフっぽい敵はむしろ社殿に先に出ているので分かるような分からないような感じです。参道で絵馬を調べる雛子に襲い掛かってきた敵は手足に枷をはめられて胸と顔に大穴開けられた人型生物っぽかったですし、やっぱり肉っぽいのはどちらにもいるような……そこで私は雰囲気が分かるデザインから「つまり女というものに向けられる世間の目線や欲望に対する雛子の嫌悪感が形を持ったのか」と汲み取ってしまったんですが。
考察と思い込みが曖昧になりやすいんですよね。そもそもこのゲームの開始時点で雛子の脳内と言うか精神世界なんでしょうし、考えすぎて「作中の情報が真実だという保証がどこにもない」となりかけました。

考え過ぎずにストーリーを楽しむべく、3周目に挑戦することにします。2周目を謎解き「五里霧中」でクリアしたので次は「難関」で、アクションは「物語重視」で行きます。
謎解きに関しては難易度を上げる要素が何なのかが難しいですよね。ヒントの文章をどう解釈するかによる場面が多く、さもなくばダミー選択肢が増える感じで総当たりで突破した所もあります(深水家の天秤はヒントがよくわからず「つまり天秤が釣り合えばいいんだ」で突破)
畑のカカシや狐の壁画あたりが「これは解釈どっちだ……?」な迷い方をしたくらいで、あとはスムーズに解けて良かったです。
霊刀周りのお地蔵さまやお供えものはすみません攻略見ました……見落としたら後戻りできないプレッシャーが怖くて……。寄り道をしてもしても見落としの不安が振り払えないんですよ……。

お守りをコンプリートして狐の胸飾りで開けられる扉や箱も開けきったので、アクション関係のトロフィーを除くとあとはエンディングコンプリートと修と咲子と凛子の日記回収でしょうか。がんばるぞー!(序盤の回復アイテムに不安を抱えながら)